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保育園の園舎建築の設計専門家・ちびっこ計画の日々

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日々の雑感:だまし絵

 私は、エッシャーのだまし絵が好きだ。
下の絵は、1961年に発表された『Waterfall(滝)』というリトグラフ作品で、大好きなもののひとつだ。
流れ落ちた滝の水は、滝壺から水路を昇って、再び滝となって流れ落ちる。
水路に建つ4本の柱たちは、水路を支えているのか、どうなっているのか。水路は水平なのか、傾いているのか。分けがわからない。
三次元では有り得ない世界が、さも自然に成立しているように表現されている。
正直言って眩暈を覚え、3秒以上直視できず、適切な解説をすることができない。やりすぎである。建築技術者を愚弄するにも程があるであろう。

 私は子どもの頃、この絵を見て眩暈を覚え、見てはいけないものを見たような気になり、吐き気まで催し、ついにダウンしてしまったことがある。
素晴らしい芸術を前にして「吐き気」とは何かという向きもあろうが、この絵はそれほど幼い私の心と胃を揺さぶったのである。
今もこの文章を書きながら、目がまわっているので、なかなか筆が進まない。
エッシャーの絵は、いい気分にさせてくれるどころか、私などはむしろ体調を損ねるのだが、カチカチに固まった心を強い力で揺り解いてくれるのだ。
それは一種の感動に違いなく、私はそんな「へんな」芸術が大好きなのである。

 来月、滋賀県守山市の佐川美術館で「M.C.エッシャー展 -変容・無限・迷宮-」が開催される。もし『Waterfall』の前で、口を押さえてよろめいている人を見かけたら、それが私である。
(大塚謙太郎)
 
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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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by chibicco-plan | 2012-06-30 09:35 | ●日々の雑感
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