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保育園の園舎建築の設計専門家・ちびっこ計画の日々

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おすすめの本:『夢の病院をつくろう』

 神戸港にポートアイランドという人工島がある。ここにこのたび完成したのが、チャイルドケモハウスだ。
 「家族の日常をあきらめない」ということを考え続けたと言ったのは、見学させていただいた折にご案内いただいた女性だ。彼女は、下の子を小児がんで失っている。このケモハウスができる前のこと。小児がんの患児と付き添う親は、カーテンで個別に仕切られた大部屋の、わずか2畳のスペースで、半年以上の期間を過ごすという状況だったという。「置き場所のないおもちゃ、生活用品。この狭い空間で、小児がんの子どもたちは半年以上にわたって病とたたかいながら、遊び、学び、そして心身ともに成長していかねばなりません。付き添う親たちに与えられた小さな簡易ベッド。隣と隔てるのはたった一枚の薄いカーテン。熟睡できず疲れた身体で、隣を気遣いながら、わが子を案じ、いたわり、励ます親。親子ともどもあふれ出る感情を押さえ込み、じっと我慢している空間。」だったと記す。そして、家族がバラバラに暮らさざるを得なかったことがとても辛かったと語った。
 俄かには信じがたいが、今でもそのような劣悪な環境下で、入院治療が行われているところが多いという。下の子を亡くした悲しみと、病院で付き添うために子育てができずに「育ててください」と実家に預けた上の子が、母と弟が自分の前から突然いなくなったことを理解できず神経症になってしまうという二重の苦しみを抱えながら、彼女はケモハウスの立ち上げに参加する。
 感染症を防ぐため、外出できない子どもたちのために、「空の見える天窓」を80カ所つけた。水遊びのできる広い「お風呂」も、調理する姿が見える「シースルーキッチン」も作った。もちろん勉強のできる「教室」も作った。つらい時にいつでも泣けるよう「泣き部屋」も作った。そして家族が気兼ねなく過ごせる19室の「ハウス」をつくり、夜、お父さんが遠慮なく仕事から帰ってこられるよう、全ての部屋に「玄関」をつけた。過酷な環境下の闘病生活で「日常をあきらめ」てきた親子だからこそわかる数々の仕掛けが、「家族」という存在に寄り添った優しさの溢れるハウスを作った。病院でもあり、家でもあり、遊び場でもあり、そして19組の同じ苦しみを抱える家族が励ましあえる、ケモハウスという新しい場所が誕生した。
 設計者の手塚氏は、日本はサイレントマジョリティーの国だとし、「新しい建築を世に送り出すと、予想以上の反応が返ってきて、一気に広がることがあります。声を上げないだけで、水面下で問題意識を共有している人は多いはず。」と述べる。とても勇気づけられる言葉だ。
 子の親として、こども建築に関わる者として、ケモハウスから学ぶことはとても多い。このチャイルドケモハウスを、多くの方に知っていただければと思う。ぜひご一読いただきたい。さらに御関心のある方は、下記のホームページものぞいていただきたい。

http://www.kemohouse.jp/

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BOOK DATA
夢の病院をつくろう
【著】NPO法人チャイルド・ケモ・ハウス
価格●1200円(税別)
出版●ポプラ社
発行●2013年10月
ISBN●978-4-591-13618-8
18.8×12.9cm、158頁
by chibicco-plan | 2014-06-13 18:12 | ●おすすめの本

専攻建築士に登録されました

先日、大塚は専攻建築士に登録されました。

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専攻建築士制度とは・・・
消費者保護の視点に立ち、高度化し、かつ多様化する社会ニーズに応えるため、専門分化した建築士の専攻領域及び専門分野を表示することで、建築士の責任の明確化を図る目的の自主的な制度です。
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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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by chibicco-plan | 2014-06-08 02:03 | ●お知らせ