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保育園の園舎建築の設計専門家・ちびっこ計画の日々

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日々の雑感:光る泥だんご

 保育園をお訪ねするとよく見かけるのが、こどもたちの作った「光る泥だんご」である。
もちろん私も持っている。以前にタイルメーカーINAXの常滑研究所で作らせてもらったものだ。
その完全なる球体は、上質の鼻の油と無添加の耳の油でもって長年磨き続けられているので、その滑らかな土肌は深遠なる光沢を湛えている。
我ながら素晴らしい出来ばえである。はっきり言って、保育園のこどもたちのより上手い。

 ところが、先日机の上を片づけていると、大切な「おだんご」を誤って床に落としてしまった。
割れたに違いないと思った。が、ひびひとつ入っていない。

そこで、少し考えた。

いくら私の腕がイイと言っても、いくら球体が構造耐力上合理的な形態だと言っても、机から落としたら割れるのが普通ではないか。
そう言えば、INAXの美人のお姉さんは、「特別に調合した土」だと言っていた。さらに「誰にでも簡単に作れますよ」とも言っていたような気がする。

本当の「光る泥団子」を作るのはそんなに簡単ではないはずだ。
誰しも試行錯誤を繰り返し、でこぼこの失敗作を積み重ねながら、理想の「おだんご」ににじりよっていくものではなかったか。

 わたしは、恥じた。

いくら美人のお姉さんにのせられたとはいえ、誰にでも簡単に作れるよう調合された土を使い、たった一回の挑戦で完璧な仕上がりを見せるよう計算された工程で作った「おだんご」と、
こどもたちのたゆまぬ努力の結晶たる「おだんご」を比べたとき、本当に光っている「おだんご」はどちらなのか、火を見るより明らかではないか。

 私は、こどもたちの生活の場である保育園の設計において、内容の伴う「本物」というものを、あらためて大切にしようと、その時思った。
(大塚謙太郎)
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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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by chibicco-plan | 2012-06-20 09:36 | ●日々の雑感
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