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保育園の園舎建築の設計専門家・ちびっこ計画の日々

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おすすめの本:『虫眼とアニ眼』

 養老孟司と宮崎駿の対談集である。巻頭に『養老さんと話してぼくが思ったこと』と題した宮崎氏の画集がある。保育園やホスピスから、理想のまちづくりまで描くその数々は、建築士の私にとって強烈な刺激である。
 宮崎氏の描く保育園は、床が「三和土」であり、屋上は「はらっぱ」であり、それらが多層に絡み合う土と緑に覆われた立体空間だ。そして宮崎氏は「大人が手と口を出さなければ子供達はすぐ元気になる!!先生たちの考え方が鍵だし、親の考え方を変えるのも大切。その裏づけになる空間が要る」と語る。その「裏づけになる空間」を設計するのが私たちの仕事だ。しかし、「プラスチックをかくす」ことは難しく、「木や土」すらままならない。ましてや「水と火」などなかなか実現できない。
 宮崎氏は「あぶなくしないと子供は育たない」と言い切る。それを提案するには勇気が要るが、それを、建築士としてではなく、こどもたちに対する大人の責任として考え、こどもたちの成長に寄与する園舎を、前向きに提案していくべきだと考えるようになった。
 建築士は、コスト・法令・工期・性能・安全性など様々な要件によって雁字搦めに縛られている。実現させるのは簡単なことではない。しかし、空想の世界で筆を走らせる宮崎氏に羨ましさを感じてはいけないと思う。現実にそれを作ることができるのは、私たち建築士であり、むしろ宮崎氏から羨望のまなざしで見られなくてはいけないはずだからだ。
(大塚謙太郎)

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BOOK DATA
虫眼とアニ眼
【著】養老孟司、宮崎駿
価格●460円(本体438円+税)
出版●新潮社
発行●2008年2月
ISBN●978-4-10-134051-7
15.0×10.8cm、192頁

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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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by chibicco-plan | 2012-07-10 00:06 | ●おすすめの本
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