「赤ちゃん学」という学問がある。
筆者は東京大学の教授で、その道の第一人者だ。実は、「赤ちゃん」について科学的に未解明な点が多い。私にも経験があるが、娘が赤ちゃんの頃、私があかんべーの要領で舌を出すと、彼女は同じように可愛い舌をぺろっと出したことがある。これは、「新生児模倣」というものだそうで、鏡を見たこともないのに、舌がどこにあるのかを認識しているわけで、考えれば不思議なことである。
「いないいないばあ」が喜ばれるわけ、テレビ映像と現実との区別、早期教育の是非、心を認識するか、など興味深いテーマを様々な実験を元に解明していく。そして子育てには「赤ちゃんの小さくても強い力を信じ」ることが重要だと説く。
子育てを、科学のみでとらえることは必ずしも良いわけではないかも知れないが、うつ伏せ寝を止めれば突然死が激減したように、誤った非科学的常識が、時に幼い命を奪うこともある。この本は、多少難解ではあるが、赤ちゃんの持つ様々な能力に出会える、おもしろい一冊である。
(大塚謙太郎)
BOOK DATA
赤ちゃんの不思議
【著】開一夫
価格●756円(本体720円+税)
出版●岩波書店
発行●2011年5月
ISBN●978-4-00-431311-3
17.3×10.6cm、192頁
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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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