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保育園の園舎建築の設計専門家・ちびっこ計画の日々

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「めぐみ幼稚園」様について NO.3

30本の丸太、30通りの姿
 赤いもの、白いもの、あばたのあるもの、節のあるもの、つるつるのもの、ぼこぼこのもの。様々な表情を見せる30本の丸太群が、この園舎の大屋根を支えている。均質化の時代を生きる子どもたちに、ONLY ONEになれと歌い聞かせるのなら、違いこそが本物の証だということを、私たち大人は彼らに伝えなければいけない。京都北山から伐り出された様々な表情をもつ30通りの姿を持つ丸太群は、違うことの美しさを子どもたちに黙したまま語りかける。目で見、肌で感じ、ここに暮らす子どもたちが違いを認められる大人に育っていく、その一助になればとてもうれしく思う。
『公共建築物等における木材利用の促進に関する法律』の施行より8年、民間の幼稚園や保育所の木質化も、徐々にではあるが進みつつあるようだ。法制化が遅すぎたという感は否めないが、たいへん好ましいことだと思う。
 しかし、ご承知の通り、幼稚園や保育所をはじめとする乳幼児のための建築では、2階以上に保育室等を設けようとすれば、防火上の制約が課せられ、丸太を柱として使うことができなくなる。保育所はもちろんのこと、特に幼稚園では大きな運動場が必要で、市街地での限られた敷地面積では、平屋建てで計画することが難しく、その意味において、丸太柱が織り成す保育空間は贅沢な造りだといえる。
 30本の丸太のうち、最も太くて長いものが、西端にある「いのりのおへや」の8本だ。直径およそ40cm、高さは5mを超える。身長1mのこどもたちから見れば、「長い」というより「聳える」に近いのではないかと思えるそれを、てっぺんまで登りきってしまう子がいるらしい。それも一人や二人ではないとのこと、先日お訪ねしたときも二人が二本に分かれてチャレンジ中だった。背割りに手を掛けて、両足で丸太を挟みこんで、器用に登っていく。想定外である。きっと天井に達した時の達成感は素晴らしく大きなものに違いないし、眼下に大人たちを見下ろす気分はさぞ爽快だろうと思ったのだが、よくよく考えてみると、柱に登るこどもは、そのようなことで登っているのではなく、実は猿が木に登るが如く、動物的な本能が作用しているだけなのかもしれず、こどもの行動をなんでも意味付けしてしまおうとする、退化した大人の貧困な発想に我ながら呆れた。もしそうだとしたら、登ることを制止することは、動物的本能を抑止するということなる。とにかく、めぐみの保育は、この想像を超えたこどもたちの行動をしっかりと受け止め、それを受容する。その懐の深さが、めぐみ幼稚園の大きな魅力のひとつだと言える。彼らが大人になって、その柱と再会した時、その丸太の変わらぬ存在感と重ね合わせて、自身の存在を再確認することができるのではないかと、思ったりしている。人生の拠り所として存在し続けることもまた、園舎に与えられた大きな役割のひとつだろう。


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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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by chibicco-plan | 2019-03-26 10:00 | ●保育園設計の考え方
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