ビルインの認可保育所が難しい理由
ちいさな命をあずかる保育所ですから、児童福祉施設最低基準は建築基準法以上に厳しいものとなっており、その設備の基準が第32条に定められています。
2階以上に保育室を設置すると、無条件で2方向避難を要求されます。また、3階以上に保育室を設置すると内装制限がかかります。建築基準法の内装制限は、腰壁は制限なしですが、児童福祉施設最低基準のそれには腰壁の緩和規定がありません。よって、全ての壁について内装制限がかかると解釈するのが自然なのかもしれませんが、自治体によっては「腰壁は壁ではない」という解釈をする場合もあります。
国は、認可外保育所の認可化を進めようとしているようですが、この現状では簡単ではないでしょう。都市部の保育行政が抱える大きな課題です。園児の安全に直接かかわる規定がこの32条ですが、官民ともに扱いがずさんです。もちろん闇雲に厳格に解釈する必要はないですが、もう少し丁寧に取り扱うべき条文だと思います。
写真のH認定こども園は、鉄骨3階建てで、2・3階に保育室があるため、内装制限がかかり、腰壁は不燃木材を使いました。目が飛び出るような値段ですので、簡単に使える材料ではません。面積規定については、内法でとれという指導が基本です。内法で面積算定すると壁芯に比べて1割前後減りますので、注意が必要です。
多くの待機児童を抱える都市部の行政は、既存のビルの中に保育所を入れ込もうと公募をかけますが、なかなか進展しません。面積的にも設備的にも、これらの条件に見合う物件がきわめて少ないからです。認可外の保育所の多くは貸しビルに入っていることが多いですが、明らかにこの32条を守れていないものが多数あります。
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