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保育園の園舎建築の設計専門家・ちびっこ計画の日々

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キッズキッチンと保育の相互作用

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公益社団法人こども環境学会の会誌『こども環境学研究』第16巻・第1号(通巻第45号)に、令和元年度に、早稲田大学大学院佐藤研究室の佐藤将之氏・宗政由桐氏・堀越まい氏と私どもが共同で行った研究『キッズキッチンと保育の相互作用』が、ポスターセッション要旨集に掲載されましたので、お知らせいたします。

1.研究の背景と目的
平成17 年に施行された食育基本法において食育推進が義務化され、保育環境に対して食に関する人的・物的な配慮が求められており、クッキング(園児が参加する調理体験)は子どもの主体性を育みうる有用な手段の一つである。しかし、衛生面の懸念からクッキングを行う保育園は減少傾向にあり、予算等の都合から充分な食育環境が達成されているとは言い難い。本研究では、クッキング専用のキッズキッチンを有する園が、クッキングに対する衛生面などの問題を解決しながら食育の推進に寄与する可能性に着目し、クッキングの実態把握を行い、キッズキッチンの使われ方を概観しながら、物的な保育環境としてのキッズキッチンの意味や価値の明確化を目的とする。

2.調査概要
クッキング実施21 園(内かにがさか・みらくるちっぷの2園がキッズキッチンを有する。かにがさかでは保育者・保護者双方に調査を実施)の調理員を含む保育者(17 園)・保護者(5園)、クッキング実施2 園の保育者に対してアンケート調査を実施した。3・4 章で保育者・保護者それぞれの立場ごとに定型自由記述で得られたクッキングへの満足・不満足からみた意識、5 章でキッズキッチン保有園の意識から考察する。

3.クッキングの実施に対する保護者意識
保護者258 に[子どもの成長にクッキングが必要と思うか]を選択式で問うと94.6%(244)が必要と回答した。また、キッズキッチンが園選択の理由になるかを選択式で問うと57.0%(147)が選択の理由になると回答し、過半数であった。

4.クッキングの実施に対する保育者意識
保育者190 名にキッズキッチンが役立つかを選択式で、その理由を[( )が( )ので]の定型自由記述形式で問い、回答内容を7 要素に分類した。48.4%(92)が役立つと回答した。子どもと大人とが同じ目線で作業可能な段差が作業しやすい点
(17)、衛生面の向上を理由に挙げた回答が特徴的である。一方でどちらともいえない・役立たないと回答した人は設備維持・管理の手間や限られたスペースの兼用しづらさ等を理由に、大半がキッズキッチンに消極的な意見を挙げた。

5.キッズキッチン保有園のクッキング実施意識
キッズキッチンを有するかにがさか保育園の保育者・調理員・保護者へクッキングに関する満足・不満足を[( )が( )ので満足/ 不満]という定型自由記述形式で問い、満足回答を7 要素に分類し、立場別に割合を示すモザイク図を作成した(図1)。調理員は設備要素へ、保育者は食以外の学び要素へ、保護者は楽しみ・家庭回帰(自宅における料理や手伝い)要素への満足回答が他の2 者より多い点が特徴的である。

6.まとめ
保護者はクッキングの必要性を感じており、子どもの楽しんだ様子や家庭回帰を通じてクッキングに関心を寄せる。一方で、保育者はクッキングの実施やキッズキッチンの設置にやや消極的な姿勢が見られる。しかしながら、クッキングの実施は調理員と子どもとの交流の機会を生み、子どもが食や食に関わる大人などへの関心を高めるきっかけとなる。キッズキッチンはクッキングを行う環境を家庭環境と同様かつ子どもが取り組みやすいよう整えることで、食育を日常的に行いやすくする役割を持つ。また、子どもは食への関心を通じて、上述した食以外の学びを得ることができる。


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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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by chibicco-plan | 2020-09-30 11:11 | ●保育園について執筆・講演
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