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保育園の園舎建築の設計専門家・ちびっこ計画の日々

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五感を思い出す

「五感を大切にした保育」を標榜する園、多いですね。10の姿の中で、「自然とのかかわり」とか「豊かな感性」などが掲げられるように、感性や感覚の重要性は特筆すべきことではありません。参考書を開くと、そのあたりのページには、だいたい豊かな園庭の写真が並んでいて、室内環境の写真が出てくることはまずありません。園庭よりも長く過ごすはずの園舎自身と五感との関わりが、こどもたちの生活にどのような影響をもたらすかについて語られることは思いのほか少ないです。研究対象として成り立ちにくいし、園舎を建てかえる機会なんてまずないから、ここは保育学の範囲外ということになるのかもしれません。けれども私は、園舎も園庭と同じように感性や感覚を意識して作っていいんじゃないかと思うんです。(そもそも園庭を作らないといけないということ自体、違和感がないではないですが。)


本来建築は自然との関わりの中で作られてきたもので、柱も屋根も床も壁もそのあたりにある自然の材料だけで作られていたはずですが、いつしか工業製品をカタログから選んで組み合わせるようになってしまいました。それは保育者の考え方どうこうというよりも、「本物の材料」を選択範囲に入れなくなった、われわれ日本人の文化の問題です。ですから、そこで建築家が口火を切らなければならないはずなのですが、コストダウン、安心安全、メンテナンス性など、考えることを放棄するに足る常套文句で、自発的に封印しているのが実際のところでしょう。


そこを丁寧に考えてみること。自省をこめて、まず、私たち大人が、五感をもう一度思い出すことから始めたいですね。滴る雫、きしむ床、セメントの香り、柔らかな畳、吹き抜ける風、光と闇、人が頼る感覚の8割は視覚だと言われる中で、他の感覚を成長と共に退化させるのではなく、せっかく持って生まれた感覚を、研ぎ澄ませるような暮らしを考えたいと思っています。

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建築を通じてこども環境を考える
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by chibicco-plan | 2026-02-01 15:36 | ●日々の雑感
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