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保育園の園舎建築の設計専門家・ちびっこ計画の日々

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「学校法人森友学園 エンゼルキッズ清和台」様が日本漆喰協会の第6回作品賞を受賞しました

「学校法人森友学園 エンゼルキッズ清和台」様が日本漆喰協会の第6回作品賞を受賞しました。

園舎の基準となる児童福祉最低基準では、2階建ての木造園舎は制限が大きく建築することが難しいが、「燃えしろ設計」という方法を用いて耐火性能を確保し、柱や梁などの木造構造材をあらわしで用い、木の香漂う空間を実現させた。日本で伝統的に使われてきた本物の建材に囲まれた空間で暮らすことを、こどもたちの「育ち」につなげようという考えのもと、杉や高野槙の丸太、竹の床や天井、御影石、杉の腰板、障子紙、畳などとともに、「漆喰」を使用した。新建材に比べて伝統的な建材は、低年齢のこどもたちが暮らす空間において多くの負の側面をと隣り合わせとなる。たとえば障子紙は簡単に破れ、こどもたちの絶好の標的となるし、節や割れのある丸太柱は削げが刺さるなどの怪我の心配を孕む。防汚性能や耐久性の高い吹付外壁材に比べて「漆喰」は汚れやすく耐久性にも劣る。普通なら管理する立場からは敬遠されてしかるべき伝統的な建築材料たちだが、私たちはその負の側面こそが、こどもたちの本当の「育ち」につながると考えた。こどもたちの「育ち」に対して、建築が僅かでも貢献できるとすれば、それはこどもたちの小さな手が建築材料に触れるときではないかと考える。時には優しく、時には厳しく、その時々に応じて違った表情を見せる伝統的建材は、無表情な新建材にはない力を備えている。コンクリートにはない柔らかさと、ビニールにはない肌ざわりと、金属にはない暖かさを持つと同時に、時には痛みをもって無言の教えを与えてくれる。
玄関まわりや一時保育室に聳える丸太の柱は、身太い安定感と凛とした垂直性を感じさせるが、削げが刺さったり、出節に頭をぶつけたりと、こどもたちの怪我につながりかねない材料でもある。しかし私たちは、全ての危険を排除するのではなく、それらを自然物からの教えと考え、こどもたちの「育ち」のきっかけにしようとした。外壁に塗られた「漆喰」は、まぶしいほどの輝きをもちつつも、柔らかな光をこどもたちに注いでいる。力強い陽射しを柔らかな光に変えてはね返す様は、食べ物を咀嚼してこどもに与える母親のようでもある。また限りなく優しいその手触りは、適度な湿度と温度を合わせ持ち、体全体をぴったりとくっつけたくなる心地よさを与えている。「漆喰」7は五感を通じてこどもたちの心に働きかける力を持った材料といえるかもしれない。この園舎は、こどもたちの「育ち」に対して、建築の果たせる役割とは何かを追求する試みであり、様々な伝統的建築材料の力を、こどもたちの「育ち」につなげるための提案である。それはまた、保護者と建築技術者が手を携えてその大きな課題に真正面から向き合い、それぞでの職能の垣根を乗り越えて手探りの中で紡ぎだした、小さな施主たちへの回答でもある。

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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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by chibicco-plan | 2011-12-20 14:39 | ●お知らせ