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保育園の園舎建築の設計専門家・ちびっこ計画の日々

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「社会福祉法人みおつくし福祉会 東喜連保育園」様が近代建築 2017年1月号に掲載されました

「社会福祉法人みおつくし福祉会 東喜連保育園」様が「近代建築 2017年1月号第71巻1号(特集:保育建築の計画と設計)」に掲載されました。

バリアをつくれ
「目の見えくい子がね、眼鏡をかけるように、足の不自由な子にはエレベーターが要る。ただそれだけのこと。」障がいをもつ子どもたちを多く受け入れておられる園だったので、完全バリアフリーのプランを提案しようとしたら、いきなり園長に「却下」された。「子どもには上下の高さの変化が必要だから、段差を使った部屋にしてほしいんですよ。」幼児のフロアである2階の計画は、園長のこの言葉から始まった。以上児縦割りコーナー保育を展開する大部屋には、多彩なコーナーが設けられ、子どもたちが思い思いの遊びに没頭している。そのまわりを高台で囲み、長い座卓のある畳コーナーや午睡コーナーを置いて、長いスロープでつないだ。スヌーズレンや、天井の低い絵本のかくれが、気の散りやすい子どもたちに使いやすいブース型の座卓など、いろんな個性を持つ子どもたちが活き活きと暮らせる仕掛けをちりばめた。足の不自由な子どもたちがいざりながらスロープを昇っていくのを見れば、過剰なバリアフリーが如何に子どもたちの成長を妨げているかを考えざるを得ない。
失敗は成長のもと
現場定例会議で嬉しいことがあった。障子紙の種類を決める日で、建具屋さんが気を遣って強化和紙を持ってきたのだが、破れにくすぎると園長に「却下」された。もっと破れやすい紙を持ってこいというのだ。私たちは園舎の役割のひとつに、上手に失敗をさせてあげられるということがあると考えている。打ち合わせの中でそれを力説したかどうかは覚えていないが、私たちの意図に自然に共感していただけたことがうれしかったのだ。ハザードを排除した上で、破いてもいいところ、指を詰めてもいいところ、落っこちてもいいところ等、適切なリスクを散りばめ、失敗の先に見える成長を見据えたものが形になった。園長は、障子破り第一号の子どもの名を繕った紙の上に書き記そうと心待ちにしておられたが、先日ようやくひとつ穴が開いたそうだ。この2つの「却下」は、園長の「決意」と読み替えることができる。

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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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by chibicco-plan | 2017-01-20 11:48 | ●保育園について執筆・講演

「日本基督教団茨木教会附属 めぐみ幼稚園」様が近代建築 2017年1月号に掲載されました

「日本基督教団茨木教会附属 めぐみ幼稚園」様が「近代建築 2017年1月号第71巻1号(特集:保育建築の計画と設計)」に掲載されました。

夢を摘み取れば
当初提案の床面積は実は倍近くあった。圧倒的な予算超過からスタートした設計は、めぐみ幼稚園の夢をひとつずつ摘み取っていく作業に他ならなかった。本当に納まるのかという不安の中の辛い作業だったが、無駄を削ぎ落とすごとに引き締まり、かえって本当に必要なものがはっきり見える明快なプランとなった。広いデッキと丸太柱、小さなかくれが、そして天上からの光が降り注ぐいのりのおへや。元気な時、沈んだ時、皆といたい時、ひとりになりたい時、感情を制御することを覚えていくこどもたちに、時々の気持ちによって居場所を選択できる様々な性格の空間を提供する。めぐみの保育の新しい舞台が建ちあがった。

工事中も成長中のこどもたちへ
園舎の建替え工事は、こどもたちに仮園舎での長い生活を強いる。時間もコストも抑えられた中、北梅組の業務の枠を超えた粋な計らいで、解体する園舎でのおわかれ落書き会、工事現場のぞき窓、仮囲いでお絵かき作品展、重機の運転実演、工事現場の探検などが実施された。常にこどもたちを見つめながら現場を運営する北梅組の温かい思想に触れ、私はとてもうれしかった。工事中の窮屈な暮らしが少し和らいだのではないかと思う。

30本の丸太、30通りの姿
赤いもの、白いもの、あばたのあるもの、日焼けしたもの、つるつるのもの、ぼこぼこのもの。均質化の時代を生きるこどもたちに、ONLY ONEになれと歌い聞かせるのなら、違いこそが本物の証だということを、私たち大人は彼らに伝えばければいけない。京都北山から切り出された様々な表情をもつ丸太群は、違うことの美しさをこどもたちに黙したまま語りかける。目で見、肌で感じ、ここに暮らすこどもたちが違いを認められる大人に育っていく、その一助になればとてもうれしい。

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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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by chibicco-plan | 2017-01-20 11:44 | ●保育園について執筆・講演