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保育園の園舎建築の設計専門家・ちびっこ計画の日々

chibiplan.exblog.jp

日本における保育園の誕生


 明治期の民間保育所の立ち上げから、大正期の公立保育所の設立まで、我が国における保育所の黎明期を詳細に追う。東京女子師範付属幼稚園や二葉保育園から、岡弘毅の保育一元化論、石井十次らの児童保護事業なども射程に収め、先人たちが子どもたちの貧困に対し如何に尽力してきたのか、定員・保育士数・保育料・日課・法令・貧困の実情など、あらゆる視点から当時の状況を考察し、園舎の平面図や当時の写真など豊富な資料とともに詳らかにする。

小規模保育所の公募が始まり、株式会社に門戸を開く動きが加速し、来年度から認定こども園の新制度が動き出すという変革期にあって、保育所は急速に多様化し、その数を増やしている。先人たちの尽力の積み重ねで切り開かれてきた保育所というシステムを、継承し、未来へつないでいく責務を負う私たちが、まず理解する必要があるであろう保育所の原点を知ることができる貴重な一冊だ。

果たして、現代の私たちが作り、運営している保育所が、先人たちの想いを継承できているのか、自らに問いかけてみたい。

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BOOKDATA

日本における保育園の誕生

子どもたちの貧困に挑んだ人びと

【著】宍戸健夫

価格●本体3200+

出版●新読書社

ISBN978-4-7880-1180-9

発行●20148

仕様●21cm×15cm378




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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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# by chibicco-plan | 2019-05-07 10:00 | ●おすすめの本

『重い障害を生きるということ』

私の専門は保育所建築の設計だが、先日、児童デイサービスの設計依頼をいただき、こどもたちの「障がい」について考える機会を得た。そこで出合ったのが本書である。

 筆者は第一びわこ学園の園長を勤めた医師で、「筋緊張で頭が反り返り一本の丸太棒のようになっている子、水頭無脳症で大脳や小脳が全く無い子」など、重い障がいを持つこどもたちとの暮らしの中で、「こころ」とは、「いのち」とは何かを発見していく日々を綴る。

 後半では、「この子らを世の光に」と語った創設者糸賀一雄の奮闘を紹介し、日本における重症心身障害児施設の苦難の歴史が語られる。

 そして、たとえ脳がなくとも、「からだ」が快適な状態を作ることは可能で、それは「いのち」が気持ちよく存在していることであると説き、「死んだほうがまし」なのではなく「生きている喜びがある」から、それを実現していくことが社会の役割であると結ぶ。

 私にとって、こどもたちの「障がい」を考える道標となった一冊である。

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BOOK DATA

重い障害を生きるということ

【著】高谷清

価格●735円(本体700円+税)

出版●岩波書店

発行●201110

ISBN978-4-00-431335-9

17.4×10.6cm196



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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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# by chibicco-plan | 2019-04-30 10:00 | ●おすすめの本

ホームページを更新しました

ホームページを更新しましたのでお知らせいたします。

私たち ちびっこ計画で設計させていただきました「特定非営利活動法人くるみ会 くるみ保育園」様、「社会福祉法人まどか福祉会 まどかこども園」様の事例紹介を追加いたしましました。

「特定非営利活動法人くるみ会 くるみ保育園」様の掲載ページは
こちらです。

「社会福祉法人まどか福祉会 まどかこども園」様の掲載ページは
こちらです。

よろしければご覧ください、

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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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# by chibicco-plan | 2019-04-25 13:38 | ●お知らせ

「めぐみ幼稚園」様について NO.7

時流に流されない
外へ目を向ければ、待機児童数を減らすという大人の正義が振りかざされ、認定こども園や保育所が濫造されている。定員弾力化の名のもとに、園児の詰め込みが公然と行われ、突然死や虐待が後を絶たない。そのような過酷な状況であっても、生まれたこどもは預けるものという考え方が肯定されるこの時代は、こどもたちにとって生きやすい世の中とはいえないであろう。そのような流れに迎合せず、幼稚園のままこどもたちを見つめ続けていらっしゃる、変わることのないめぐみの保育が、この新しい舞台で末永く続いていくことを期待している。


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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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# by chibicco-plan | 2019-04-23 10:00 | ●保育園設計の考え方

「めぐみ幼稚園」様について NO.6

ちいさなきもちを受けとめる
「ひろびろデッキ」は、保育室と同じく、地面から床を50cm高く設定しており、運動場とは3段の踏み段でつながっている。正面の外観からは、軒の低さを感じさせないが、ひとたび屋根下に入れば、茅葺民家の軒下を思わせる囲まれた感じのする空間で、最も低いところで床面高さから190cm弱に設定されている。旧園舎の間取りに対し、南側に廊下を配置しなおすことで生まれた「ひろびろデッキ」だが、これによって旧園舎に見られた保育室への豊かな彩光が難しくなるため、その直上に天窓と高窓を配置し、複数の経路で保育室に光を導いた。そのため、保育室が平均天井高の比較的高い勾配天井となり、開放的な場所となったので、「ひろびろデッキ」には、その逆の性格を持たせるため、天井をできうる限り低くし、内外をつなぐ連続性を保ちつつも、落ち着いたスペースとなるよう意図した。旧園舎前で行われていた様々なことが、天候などに左右されることなく、ゆったりと行えるようになったほか、今まで保育室の中だけに留められていた遊びも、季節の風を感じながら、ここで展開することができるようになった。
 いのりのおへやに作られた「えほんのあなぐら」は、天井高さが120cmで、床を15cm掘り下げた、およそ3畳ほどのコーナーだ。床にコルクタイルを敷き詰めた、こどもサイズのスモールスペースである。三方の壁すべてを作り付けの本棚とし、およそ1400冊のえほんがならぶ。旧園舎では、たくさんの蔵書を持ちながら、こどもたちの身近に置くことができなかったが、ここにくれば、いつでも、どんなときでも、えほんの世界に飛び込むことができる。きっと、記憶の中で生き続ける、思い出の一冊に出会えるだろう。
 それから、生活調査時に、保育室内でのお遊戯の輪に入らない園児が数名いるのが気になっていたので、押入れ下におよそ1畳分のスペースとして「かくれがこーなー」や、「おきがえこーなー」を地窓とセットで設け、複数人での遊びが発生しにくい小面積にすることによって、集団と適度な距離感を保ちながらも、ひとりでいたいときの居場所を保障しようと考えた。
 このように、いくつかの違った性格の空間を想定し、こどもたちが自分の気持ちにあった居場所を、自分の意思で選択できるようにした園舎は、プラン的には単純な片廊下型でありながら、断面計画を中心にしたいくつかの調整、廊下幅を広く取って用途性を持たせた上で、間口いっぱいに開放できる木製建具で保育室との連続性を確保したことによって、保育と園児の行動の幅が広がり、画一的でない生活を導き出した。
 そのほか、細部計画においては、扉の指詰め防止処理、出隅の丸面取りなどをはじめとする怪我の防止対策や、網戸の破れ対策など教諭の手間を軽減する対策をしっかりととった。過剰なのではないかと考える向きもあるが、こどもの行動に対して禁止や抑制を与えすぎて、保育が後ろ向きで窮屈なものになる事のほうが、こどもにとっての不利益になるだろうと考えた。


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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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# by chibicco-plan | 2019-04-16 10:00 | ●保育園設計の考え方