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保育園の園舎建築の設計専門家・ちびっこ計画の日々

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叱りをデザインする その2

『叱りをデザインする』 その2

 時として、「叱って」はならない場面もある。私は、都心部の子どもたちの環境に、ビオトープを普及させる活動に参加している。保育園で子どもたちと一緒に池を掘り、メダカを放流したときのことだ。「めだかさん、すくってみい。」というと、池の周りに座った子どもたちは、一斉に、そして素晴らしい勢いで上からメダカを掴む(掬うのではなく)。池や川で生物を掬い取った経験が無いために、「掬う」という動作がわからないのだ。力いっぱい掴まれたメダカは、その小さな手の中で潰れてしまう。そんな時、彼らは驚きと、恐怖と、後悔が入り混じったなんともいえない表情をする。叱ってはならない。彼らは、その瞬間、自らの手で生物のいのちを奪うという取り返しのつかない行為に、痛恨の涙を流し、心のすべてを揺らしてメダカに詫び、自分自身を激しく「叱って」いるはずだ。こうして彼らはいのちの尊さを学んでいく。
 子どもは遊びの天才だから、四角い部屋と平らな園庭でも無限に遊びを生み出していく、という考え方がある。子どもの能力に甘えきった、都合のよい解釈だ。山で転び、岩場ですりむき、池でびしょ濡れになり、押入れに潜って頭を強かにぶつけ、痛みとともに生きる力を育む。障子を破り、畳を傷め、穴を開けてしまった襖を修繕する労苦を体験して、物を大切にすることを覚える。管理者から敬遠されるものには必ずといっていいほど、「叱る」チャンス、つまり育つチャンスが潜んでいる。子どもは「叱ら」なくても大きくなっていく。でも、大きくなることと、育つことは意味が違う。「叱る」ことが苦手な人もいる。「叱り」方がわからない時もある。うまく「叱って」もらえなかった人には難しいことだ。そんな時は、大地に、素材に、いのちに叱ってもらえばいい。
 我々保育家や建築家は、そんな思想をもって子どもたちの環境を考えられているだろうか。保育家はもっと、園舎や園庭のことを考え、建築家はもっと、子どものことを考えるべきではないだろうか。それぞれの仕事の境界線を引いてはいけない。子どもの育ちの鍵は、その境界線が交わるところにこそ存在するのだから。使いやすさよりも、造形の美しさよりも、安全よりも、快適さよりも、保育家と建築家に、最も求められるデザインの考え方。「叱り」をデザインすること。我々は、まず自らを叱らなければいけない。いつか、成長した子どもたちに褒めてもらえるように。

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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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# by chibicco-plan | 2018-06-28 16:06 | ●保育園設計の考え方

叱りをデザインする その1

『叱りをデザインする』 その1

 「それは、やめてください。吹き抜けなんてもってのほかです。」
 ある保育園での設計打ち合わせでのことだ。手すり越しに子どもが物を落とし、階下にいる子どもにあたって怪我でもしたら、父兄に申し訳が立たないと、園長は言った。
 私は、保育園をはじめとする子どものための建築設計に携わっているが、どの仕事でもこの手の話が出る。聞けば、近頃の父兄の中には、子どもが膝をすりむいただけでも怒鳴り込んでくる人がいるという。顔に怪我でもしようものなら、どんなかすり傷でも皮膚科(外科ではなく)へ連れて行く。傷痕をできるだけ残さないようにとの配慮なのである。
 本来保育士は、吹き抜けの手すりから物を落とそうとする子どもがいれば、それが階下のお友達にあたったらどうなるかを「叱る」ことによって考えさせ、子どもを育てていく存在であるべきだと思う。しかし、それ自体を回避しようとしてしまうのが現実だ。こんなこともあった。床に天然の杉板を使うことを提案したしたところ、「削げが刺さるから困ります。それに、子どもはすぐ汚しますから、掃除がたいへん。」と答えが返ってきた。結局、合成樹脂でコーティングされた、複合フローリングと呼ばれる工業製品を使うことになった。表面は平滑で、拭けばすぐに汚れは落ち、間違っても削げは刺さらない。しかし、本当にそれでよかったのか。
 子どもたちは、削げが刺さることで、体の痛みとともに自然素材の扱い方を学び、自ら雑巾をかけ、その労苦を知ることで、美しく使うという心を養っていく。それは自然物の「叱り」と呼べるかもしれない。こうして子どもたちは、「叱って」もらえるチャンスを少しずつ奪われていく。それは、子どもから学びを奪い、育ちを奪うということだ。

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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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# by chibicco-plan | 2018-06-27 16:05 | ●保育園設計の考え方

段差を活かす園舎計画 その4

段差を活かす園舎計画・・・おわりに
 段差は人間の行動を制限するから、福祉のまちづくり条例などバリアフリーやユニバーサルデザインの考え方に反する部分がでるので、各々のケースに応じて、園児の受入れ場所や、それに至る動線検討が重要であることは言うまでもない。
しかし、人間の行動にある一定の指向性を与えることもできる。
それが円形であれば求心性が生まれるし、高さの差が大きければ領域性が生まれる。
それらを保育の目的に応じて制御した設計を行えば、それはバリアではなく、少しでも保育をサポートできる有益な要素に変貌し得るはずだ。

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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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# by chibicco-plan | 2018-06-11 17:00 | ●保育園設計の考え方

ホームページを更新しました!

ホームページを更新しましたのでお知らせします。

社会福祉法人しらゆり会様の「さくらづか保育園以上児棟」がこの度竣工し、ホームページの「
いままでの仕事」の記事を更新しました。
ぜひご覧ください。
掲載ページはこちら
です

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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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# by chibicco-plan | 2018-06-08 13:01 | ●お知らせ

段差を活かす園舎計画 その3

『いくつかの試み』
 写真1は、事務所ビルに保育所を入れた事例である。共用部への既存鋼製防火戸の踏み込みの段差を活かしたコーナーを設えた。段差は150mmで、床には厚めのコルクタイルを使った。円形であるため、こどもたちの視線は、自然に隅に座る保育士の方に向かう。設計打合せでは、集まって座れる場所として設えることとし、具体的な利用目的は決めなかったが、本棚がおかれ、読み聞かせコーナーとしても使われるようになった。
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                                      写真1

 写真2は、倉庫を保育所に転用した事例で、既存の階段下部の天井が低く狭いスペースを、アルコーブとして作り変えた。やはりここでも段差を利用することで領域性 を帯びさせ、落ち着いて遊べる空間としてお使いいただいている。
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                                     写真2

 写真3は、前面道路と1mのレベル差のある雛壇造成地での新築で、0・1歳児保育室内に段差を設けた事例である。
 レベル差の解消のしかたが最大の課題であったが、積極的に活かすことを考え、「ベビーサークル」がわりとして、段差を利用した畳コーナーを設えた。

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                                      写真3

 既製品のベビーサークル(写真5)は、低年齢児の現場ではよく使われているが、やはり檻の中にこどもを入れているようで、抵抗を感じる先生方もおられるようだ。この事例のように段差を上手く用いれば、保育上のマイナスイメージを払拭する一助にもなる。設計者としては、低年齢児室に段差を設けるのは、少々勇気が必要かも知れないが、綿密な打合せを行って保育とリンクさせていけば、上手く活用していただける。依然としてここには落下防止の柵は設けられていないし、もちろん既製品のサークルも用いられていない。また、この園では写真4のように、0・1歳児保育室だけでは処理しきれなかったレベル差をホールにも利用し、舞台として活躍している。
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                                       写真4

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                                     写真5


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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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# by chibicco-plan | 2018-06-04 15:36 | ●保育園設計の考え方