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保育園の園舎建築の設計専門家・ちびっこ計画の日々

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くじら雲の印象 その2

 土や緑の少ない都市部でも、いのちに触れる体験をしてもらおうと、建築設計の傍ら、兵庫の都市部で、保育所ビオトープづくりに携わっている。本ワークショップの第2回でご紹介した「N保育園」もそのひとつで、保育士、法人理事の皆さんによるワークショップで図面を描き、池、水路、棚田を、こどもたちと一緒に造った事例だ。依田さんに「都会でもできるんだという、いい事例でした」との感想をいただいた。
 しかし、闇雲にハードとしてのビオトープを造ればそれでいいわけではない。設計者の悪癖であるが、作りっぱなしが実に多い。ビオトープは「池」という形態で普及しつつあるが、あくまで人工物であり、完全に自然化するのは難しい。干上がったり、あおこが大量繁殖したり、維持していく過程に様々な問題が発生する。造ることは簡単で、小さいものなら、こどもたちと一緒にのんびりと作業しても、1日あればできあがるのだが、維持していく保育士さんは、たいへんなのである。

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保育園、保育所の設計専門
ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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# by chibicco-plan | 2018-07-30 16:52 | ●保育園設計の考え方

くじら雲の印象 その1

 「20人にしているんです。これより多くなると、こどもたちが1日をどう過ごしているか、わからなくなるんです。」くじら雲の定員を尋ねたとき、依田さんは、このような答えを返されたと記憶している。法定の最低基準に従って保育士数や、児童数を決めている、大方の保育所とは違い、明確な目的を持って決められた定員だ。芋を洗うような、都市部の保育所とは雰囲気が違う。くじら雲のような保育が、認可を外れないとできないというのは、なんとも歯痒い。
 焚き火スペースがよかった。適度な大きさで、背面が小さな崖になっているので、開放的でいて、かつ包まれたような空間になっている。本当に羨ましい場所だ。そこで、小さく穏やかな声で、輪になったこどもたちに話し掛けている依田さんの様子を見て、「保育」ではなく「当たり前の暮らし」を感じた。今までに見たいくつかの保育所では、大声で呼び掛ける保育士さん、という印象しかなく、保育所はこどもたちの「暮らしの場」という言い回しを、きれい事だと思い始めた矢先のことで、うれしかった。
 多くのこどもたちのリュックには、鈴がついている。こどもたちに尋ねると、熊除けの由。生きるための知識を、しっかり身につけている様子が伺えた。熊が出るほどの自然環境は、都心部のこどもたちから見れば、羨ましい限りだ。


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ちびっこ計画 / 大塚謙太郎一級建築士事務所
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# by chibicco-plan | 2018-07-20 13:12 | ●保育園設計の考え方

「めぐみ幼稚園」様が「スクールアメニティ2018年7月号」に掲載されました。

「日本基督教団 茨木教会附属 めぐみ幼稚園」様が「スクールアメニティ 2018年7月号 Vol.33/No.388 (-事例で見る- 幼児教育・保育施設の環境について)に掲載されました。

掲載ページはこちらです。


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# by chibicco-plan | 2018-07-06 14:02 | ●お知らせ

ホームページを更新しました!

ホームページを更新しましたのでお知らせします。

「大阪キリスト教短期大学附属 グレース幼稚園」様のページを追加しました。
ぜひご覧ください。
掲載ページはこちら
です。


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# by chibicco-plan | 2018-07-02 10:55 | ●お知らせ

叱りをデザインする その2

『叱りをデザインする』 その2

 時として、「叱って」はならない場面もある。私は、都心部の子どもたちの環境に、ビオトープを普及させる活動に参加している。保育園で子どもたちと一緒に池を掘り、メダカを放流したときのことだ。「めだかさん、すくってみい。」というと、池の周りに座った子どもたちは、一斉に、そして素晴らしい勢いで上からメダカを掴む(掬うのではなく)。池や川で生物を掬い取った経験が無いために、「掬う」という動作がわからないのだ。力いっぱい掴まれたメダカは、その小さな手の中で潰れてしまう。そんな時、彼らは驚きと、恐怖と、後悔が入り混じったなんともいえない表情をする。叱ってはならない。彼らは、その瞬間、自らの手で生物のいのちを奪うという取り返しのつかない行為に、痛恨の涙を流し、心のすべてを揺らしてメダカに詫び、自分自身を激しく「叱って」いるはずだ。こうして彼らはいのちの尊さを学んでいく。
 子どもは遊びの天才だから、四角い部屋と平らな園庭でも無限に遊びを生み出していく、という考え方がある。子どもの能力に甘えきった、都合のよい解釈だ。山で転び、岩場ですりむき、池でびしょ濡れになり、押入れに潜って頭を強かにぶつけ、痛みとともに生きる力を育む。障子を破り、畳を傷め、穴を開けてしまった襖を修繕する労苦を体験して、物を大切にすることを覚える。管理者から敬遠されるものには必ずといっていいほど、「叱る」チャンス、つまり育つチャンスが潜んでいる。子どもは「叱ら」なくても大きくなっていく。でも、大きくなることと、育つことは意味が違う。「叱る」ことが苦手な人もいる。「叱り」方がわからない時もある。うまく「叱って」もらえなかった人には難しいことだ。そんな時は、大地に、素材に、いのちに叱ってもらえばいい。
 我々保育家や建築家は、そんな思想をもって子どもたちの環境を考えられているだろうか。保育家はもっと、園舎や園庭のことを考え、建築家はもっと、子どものことを考えるべきではないだろうか。それぞれの仕事の境界線を引いてはいけない。子どもの育ちの鍵は、その境界線が交わるところにこそ存在するのだから。使いやすさよりも、造形の美しさよりも、安全よりも、快適さよりも、保育家と建築家に、最も求められるデザインの考え方。「叱り」をデザインすること。我々は、まず自らを叱らなければいけない。いつか、成長した子どもたちに褒めてもらえるように。

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# by chibicco-plan | 2018-06-28 16:06 | ●保育園設計の考え方